講談社「クーリエ・ジャポン編集部」さんから、明日24日発売予定の「バイラル・ループ あっという間の急成長にはワケがある」と「クーリエ・ジャポン10月号」を献本いただきました。
クーリエ・ジャポン10月号は、『1日でわかる”カリスマたちの新理論”知性を鍛える「白熱講義」』特集。
- 人のやる気を引き出すには「アメとムチ」はもう古い
- ありとあらゆる問題に共通する「解決への糸口」を教えよう
- 「IT音痴」なんて言い訳が通じる時代はもう終わった
- 脳内ホルモンを操る企業がSNS全盛時代を勝ち残る
- 世界の構造を把握するには歴史を統計的視点で見ればいい
- 正確なデータさえあれば90%の確率で未来予測は可能
- 私はどのようにしてノーベル賞経済学者になったか
まず冒頭の小飼弾氏とダニエル・ピンク氏の「モチベーション3.0」についての労働心理学ゼミは、規模の大小を問わず、あらゆる業種の企業経営者、そしてビジネスマン全般にかかわる深い内容。
原始時代の生存本能を根源とするやる気が「モチベーション1.0」。
続いて物々交換に始まる経済の発生に基づく信賞必罰の「モチベーション2.0」。
そしてこれからの「知識社会」におけるクリエイティブな労働生産性を要求される時代の「モチベーション3.0」。
モノサシで計りかねる成果・能力等をいかに評価し、モチベートしていくか、かなりの試行錯誤を要する難しい問題ではありますねぇ。。
その後に続く、「問題解決の糸口」や「歴史の統計的視点」の持ち方、「ゲーム理論」なども、なかなか面白く一読の価値有りです。
個人的に興味を惹かれたのは「脳と心に効く6つのレシピ」。
ちょっとした習慣の変化で、能力の発揮を促すコツが紹介されていて、「あ~、なるほどな・・・」と。
「バイラルループ」は昨年アメリカで出版されたViral Loop: From Facebook to Twitter, How Today’s Smartest Businesses Grow Themselvesの翻訳本。
この「バイラルループ」は、消費者やユーザーらの口コミによりウイルス感染的加速度で商品・サービスが広がって行く「バイラル・マーケティング」をあつかったものですが、昨今のビジネス書に多々散見されるいわゆる「ノウハウ・テクニック」論を著した本ではありません。
「フォーブス」誌のジャーナリスト、アダム・ペネンバーグが取材に基づき、オバマ大統領、タッパーウエア、モザイク・ネットスケープ、音楽・映画業界、ツイッターやフェイスブックなどのSNS等々、バイラルによって多大な影響・成果を得た実例を詳細に列挙することで、読む者に「バイラル」をより深くイメージさせる、といった感じでしょうか。
ブログにTwitter、フェイスブック、youtubeにUstream・・・、確かに、これほどまでに一個人が簡単に多数の人々へ発言出来る媒体が無数に存在する時代、しかもそれらがフラクタルに繋がりねずみ算的に拡散する力を秘めた今、一企業が一方通行で発信する情報の与える影響は、微々たるものになりつつあります。
それだけに、彼ら消費者・ユーザー達の「バイラル」の俎上に載るか否か、ということが、企業のマーケティング、さらにはその命運自体にさえ多大なる影響を及ぼす可能性すらあり得る時代。
「波はどこにあり、どこへ向かっているのか。自分は、波の上に立ちたいのか、波を造りたいのか。思考をめぐらす第一歩として、本書は絶好の足がかりとなるだろう。 「訳者あとがき」より
この、末尾の一文にピンと来た方には、是非一読をおすすめしたい一冊です。
バイラル・ループ あっという間の急成長にはワケがある