速読術は知識社会の必須スキル。

いまさら言うまでもありませんが、「情報」が価値・リターンを生む現代、そしてこれからの時代、「知らない」ということが、いかに利益獲得機会の喪失、有り体に言えば、「損失」に繋がるか、計り知れない時代です。

さらにそれが「経営者」という立場であれば、収集した知識・情報を元に、「戦略・戦術を考え抜く」という、どんな過酷な重労働よりも実は苦しい作業を「仕事」の中心に据えなければ、その経営者が率いる企業は”砂上の楼閣”、いつ崩れ去ってもおかしくない、そんな時代でもあります。

なんせあの、日本一優良企業のトヨタでさえ、苦渋の決断でF1から撤退せざるを得ない今、企業を取り巻く環境は日に日に厳しいものとなっていくのは想像に難くありません。

そうは言っても、日々巷に溢れ出る雑誌・書籍、ネット上にはブログにTwitter等々、とても限られた時間の中で膨大な情報量の中から取捨選択しつつ必要不可欠な情報をインプットし続けるのは、至難の業。

そんな状況を少しでも緩和・効率化するには、やはり「速読」を身につけるのが一番の近道かと、最近特にそう思います。

「速読術」というと、やたら眼球をグルグル動かす訓練やン十万円の講座など、とても気軽には身につけられないようなシロモノと認識している方も少なからずいるようですが、私の体験では、本当にウソのように簡単に身につきました。

20年以上前のもので、残念ながらもうとっくに販売されていないのですが、私が試したのは、ウインドウズ以前のOS、「MS-DOS」上で稼働するソフト、「ダイナブック速読」。確か、2万円弱程度のものです。

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この方法が、他の速読術と一線を画していたのは、速読を「訓練で身につける」というのではなく、人間誰しもが持つ潜在能力を引き出すだけ、というところ。

例えば、高速道路を時速100キロで2~3時間走った後、高速を降りると、一般道で普通に4~50キロで走っているつもりが、軽く80キロ出ていた、と言う経験、運転する方なら誰でもあると思いますが、ひとつはこの「速度に対する慣れ」という能力。

もうひとつが、例えば絵画や風景を人が見るとき、誰もが一瞬で全体を認識するのに、こと文章を見たとたん、一文字一文字目で追いかけてしまう「間違った習慣」の排除、ということ。

これは、人間は本来、たとえそれが文字が大量に並んだ文章であっても、絵画や風景を見るのと同様、一瞬である程度の範囲を認識できる能力を持っているのに、子供の頃の「音読」という教育のために、その必要がなくなった今でも、文字を目で追ってしまう、なので、訓練で速読を身につけるのではなく、本来持っていた文章全体を認識できる能力を復活させるだけ、ということ。

さらに、人間の運動神経は大きく二通り有り、ひとつは例えばゴルフやテニスのように、練習を怠れば、すぐにその技術が低下してしまうものと、もうひとつは例えば二輪の自転車に乗る、というような、例え長年自転車に乗っていなくとも、乗ろうと思えばすぐ乗れるような、一度身についたらけして消えない能力。

で、「速読」は後者だと。しかも訓練は、睡眠前の5分のみ。それ以上やっても効果に変わりはないと。

ということで、当時大量の本を読む必要にせまられた私は、即この方法に挑みました。根が怠惰な私にドンピシャだったので・・・。

やることは至って簡単。

このソフトの中に入っているいくつかの小説の中から好きなものを選んで、PCのスペースキーを叩く。

すると、選んだ小説の一節が画面に現れます。

その文章を自分の早さで読み終えたら、即再度スペースキーを叩く。

すると、自分が1分間に何文字の速度で読んだかが表示される(一般的に日本人の読む速度は1分間に400文字前後らしい)。

次にその速度の2倍の速度のコースを選び、同じ要領で同じ文章を読む。

実際には流れ星のように文字が流れていくので、読めない。ここにミソがあり、あまりにも文字表示が速いので、脳が一文字一文字追いかけるのをあきらめる、らしい。景色を見るのと同じ状況になる。

ここまで2~3分。

その後、再度元の早さのコースに戻し、同じ文章を読む。

すると、どうなるか?

何と、すでに同じ時間で軽く2回は読めている自分に気づく。訓練初日です。

つまり、これが「高速道路効果」。

後はこのサイクルを繰り返すことにより、短期間に1分間に読める文字数が上がっていく仕組み。

能力を加える為の訓練だと、何事も身につけるのにかなりの時間を要しますが、本来持っている能力を引っ張り出すだけだと、ことほどさように一瞬の出来事。

これには正直、驚きました。

ただ長年文字を目で追いかける間違った習慣の方が当然強いので、本来の能力が定着するまで(通常1週間~10日位だったと思いますが)睡眠直前に繰り返す。

寝る直前に行うのは、人間の脳は、新しいノウハウを身につけるのは、睡眠中の情報整理の最中らしいので、出来るだけ訓練後に別の情報を入れない方がいい、ということ。

その後、1分間に2,000文字以上読めるようになるための、「ブロック読み」や本の四隅の文字まで認識できるようにする「識幅拡大訓練」なども、ただ画面をボーっと眺めているだけで(しかも1分程度)、行えるようになっていました。

最終的には、1分間に2万文字以上、中には10万文字、などという強者もいるとか。そこまで行くと、本のページを高速でめくる指の訓練が必須だそうです。

私はそこまではやりませんでしたが。。。

このソフトのお陰で、一般的なビジネス書なら30分程度で充分読めるようになったのは、今から思うと何ものにも代え難いほどありがたいことですが、返す返す現在のPC環境で動作するものが入手出来ないのが残念です。

が、この速読術の基本コンセプトは上記の通りなので、それらを意識しながら読書するだけでも、かなり早く読めるようになるのでは、と思い、ここに綴ってみました。

速読にお高い授業料を費やす前に、一度お試し下さい。

速読ネタなので、あえて長文にした、というわけでは、けしてございませんので、あしからず<(_ _)>。。。